カクテルの名前はどんな風につけられているの?
今回の記事では、上記のような悩みをお持ちの方向けに、「カクテルという言葉の由来」「カクテルの名前の付け方」「代表的なカクテル名の由来」について詳しくご紹介していきたいと思います。
- 目次
カクテルの名前の由来
カクテルは、ベースとなるお酒に他のお酒を混ぜて作る「混合酒」です。単一の種類のお酒を割るチューハイとは違い、色々な材料を入れることでお好みの味付けが自在にできるという特徴があります。そんなカクテルですが、言葉の語源は実はいくつもあって、どれかひとつに決まってはいないのです。
1-1カクテルの語源は諸説ある
ちょっと歴史の話をしますと、古代ローマやギリシャでは、ワインの海水割りや水割りが、古代エジプトではビールを生姜や蜂蜜で割って飲んでいたと言われています。今の日本では、ワインを海水で割って飲んだりする人はいないと思いますし、ジンジャーエールは飲んでもビールに生姜を入れる人はまずないでしょう。
また、中世のヨーロッパでは、寒い日にはワインにスパイスを入れてホットワインにして飲まれていたそうです。ホットワインなら今の日本でも馴染みがありますね。これらは、昔のビールやワインはストレートで飲んでも美味しくなかったため、色々なものを足したり割ったりして飲まれていたとのことです。そこからカクテルが誕生していったようなのですが、語源としては次の3つの説が有力とされています。
1-2有力な3つの説
オンドリの尻尾説 メキシコ
一つ目は、メキシコのユカタン半島にあるカンペチュという町の酒場での出来事がきっかけとされる説です。
とあるバーテンダーが、オンドリの尻尾のような形をした木の枝を使って混合酒を作っている様子を、イギリス人が見て「それは何なの?」と聞くと、バーテンダーは枝の名前を聞かれたものと勘違いして「コーラ・デ・カジョ」と答えました。それを英語に直訳した「tail of cock」が「cooktail」=カクテルになっていったと言われています。
鶏尾説 アメリカ
二つ目は、アメリカで独立戦争の真っ只中、ニューヨーク市の北部に位置するイギリス植民地にあった、とあるバーでの出来事がきっかけとされる説です。女主人が独立反対派の大地主のところから盗んできたオンドリを使って作ったローストチキンを兵士達に振舞っている時、オンドリの尻尾を混合酒の瓶に差していたそうです。
それを見た兵士が、オンドリの正体を知って「カクテル万歳」と叫んだことから、カクテルと呼ばれるようになったと言われています。
コクチュ説 フランス
三つ目は、ニューオーリンズで営業していたとある薬局での出来事が発端とされるものです。その店の目玉商品は、病人向けのラムをベースとする卵酒で、フランス人たちはそれを「コクチュ」と呼んでいました。
しかし、病気の人でなくてもコクチュを飲む人が増え、そのような混ぜ物が入った飲み物のことを「コクテール」と呼ぶようになり、そこから転じて「カクテル」という言葉ができたという説です。
カクテル名のつけ方
このように、カクテルのいう呼び方には諸説あることがお分かりいただけたかと思いますが、実はひとつに定まってはいないのです。アルコール度数の高い蒸留酒や醸造酒に、ジュースや甘いシロップを混ぜさえすれば、基本的にカクテルと呼んで間違いではないのですが、その名前の付け方にも色々あります。
2-1考案者、有名な人物の名前から
例えばマティーニというカクテルは、1910年代のニューヨークで、ニッカポッカーホテルに在籍していたマルティーニという名前のバーテンダーが考え出したことから名付けられたそうです。カクテルに限らず、新しい元素記号や新薬、生き物の名前など最初に見つけたり、発明した人の名前が使われるのはよくあることです。
2-2物や動植物に似ていることから
燃えるような情熱を、朝焼けに見立ててグラスの中に絶妙に表現した「テキーラ・サンライズ」は、英語で日の出を意味する「sunrise」から名付けられています。他にも、針のような鋭い味わいを持つことから「スティンガー」と呼ばれているカクテルもあるように、見た目や味わいなどを物や動植物に見立ててネーミングされたカクテルがあります。
2-3実際におこった出来事から
1972年に全世界で大ヒットした映画「ゴッドファーザー」や、1912年にロンドンで大ヒットした舞台「ピンクレディ」にちなんで名付けられたカクテルが「ゴッドファーザー」や「ピンクレディ」です。
他にも、タヒチ語で「最高」を意味するマイタイというカクテルの名前の由来は、最初に飲んだタヒチ人が「マイタイ(最高)!」と叫んだことがきっかけだと言われています。
2-4発祥地や地域にちなんだ名前
日本酒とラム酒をミックスして作るサムライロックなどは、日本という国の「サムライ」をイメージして名付けられたカクテルです。このように、発祥の地の名前や地域の代表的なイメージをモチーフにして名付けられるカクテルもあります。
代表的なカクテル名の由来
現在、名前が知られているものでも世界中で約3,000種類ものカクテルがあると言われていますが、ベースとなるお酒にどんなものをどれくらい入れるかで、組み合わせはほぼ無限大だと言えるでしょう。
ここでは最後に、カクテルのうち有名なものをいくつか取り上げて、名前の由来について紹介してみたいと思います。
3-1ミモザ ミモザの花の色に似ているから
元々は上流階級の人たちが「シャンパンロランジュ」と呼んで愛用していたカクテルですが、鮮やかな黄色をしたミモザの花に似ていることから、「ミモザ」と呼ばれるようになったそうです。この世界で一番美味しくて贅沢なオレンジジュースと言われている、シャンパンをベースとしたカクテルです。
3-2スプモーニ イタリア語の「Spumare」
スプモーニとは、イタリア語のスプーマ(泡)や、スプマーレ(泡立つ)という言葉が名前の由来とされています。ちなみに、イタリアで「スプモーニ」とは、ムースやジェラートといった軽い口当たりのアイスクリームのことを指します。
カクテルとしてのスプモーニは、まず最初に日本で流行し、その後イタリアに逆輸入されたという説もあるようですが、はっきりしたことは分かっていません。
3-3ソルティドッグ 「甲板員」を意味するイギリスのスラング
これは、1940年代にイギリスで生まれたカクテルです。そして、ソルティドッグとは、「甲板員」という意味のイギリスのスラングで、甲板員が甲板の上で汗びっしょりで塩まみれになって仕事をする様子に由来しています。ちなみに、人間は汗を大量にかくと、汗に含まれるナトリウムなどのミネラル分が浮き出して塩の結晶のように白く見えるのです。
3-4スクリュードライバー 工具のスクリュードライバーを使用(ステア)したため
かつてイランで働いていたアメリカ人の作業員が、喉が渇いたと言って即席のカクテルを作りました。その作業員が、マドラーがなかったため、仕方なくステアするために使ったのが工具のネジ回し(スクリュードライバー)だったことから、この名前が付いたと言われています。
カクテルの名前の由来とはまとめ
今回の記事では、カクテルにまつわる名前の由来についてご紹介してみました。カクテルの名前には本当にたくさんあって、全部覚えるのは大変ですが、名前の由来を色々調べてみると、カクテルに込められた意味なども分かり、楽しくなって覚えやすくなります。