薬膳料理は身近にある食材を活用し、簡単に食生活に取り入れることが出来ます。今回は薬膳料理と普通の料理の違いについて調べてみました。薬膳料理を自宅で手軽に摂り入れるにはどうすればいいか悩んでいる人もぜひ参考にしてください。
- 目次
薬膳とは?
1-1中医学理論に基づいて作られた食事のこと
薬膳とは漢方の元にもなっている中医医学に基づき、食材のもつ自然のパワーを取り入れた食事のことを差します。日常に身近な薬膳料理と言えば「杏仁豆腐」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。滋養強壮や美容効果の高い杏の種の白い部分を使っており、仕上げにはクコの実が添えられているので見た目にも可愛らしいです。
しかし生薬を使用しているだけでは、薬膳料理とは言い切れません。食材のもっている力を引き出し、美味しいだけではなく健康を支えることが出来るのが薬膳料理です。
1-2季節やその人の体調に合わせて作る料理
薬膳料理は「この料理が効果的」といった万人受けのような考え方ではなく、季節や食べる人の体調に合わせて作られます。冷え症が気になる人に体の熱を逃がす効果のある薬膳料理を組み合わせると、保温に必要な熱まで奪ってしまう可能性があるので体質に合っているとは言えません。同じ料理でも体質によって合う・合わないがあり、それを見極めて料理を作ることが大切です。
また季節に合わせた旬を迎えた食材を使うことで、気候に合った食材のパワーを体内に取り入れられるとも考えられています。冬の時期の旬を迎える食材には体の中から温まる効果があるものが多く、春にかけてはさまざまな刺激から体を守ってくれる免疫力の高まる食材や苦みのある食材が多くなります。体質や季節に合わせて料理を行うことも、健康を食でサポートする「薬膳料理」の考え方です。
1-3特殊な食材を使うものではない
薬膳は生薬のようなあまり一般的ではない食材を使うイメージがあります。実はクコの実やなつめ・八角などスパイスのような、独特の風味がある食材が入っているメニューだけが薬膳料理ではありません。
スーパーで購入出来る野菜・肉・魚・調味料だけでも、薬膳料理を作ることが可能です。薬膳料理は中医学に基づき食材の性質と、バランスを組み合わせて作るので身近な食材でも体によい薬膳料理を手軽に作ることが出来ます。特別な食材を使わなくても出来る薬膳料理と、普通の料理の違いとは一体どこにあるのでしょうか。
普通の料理との違い
2-1薬膳の目的はおいしいだけでない体質改善
薬膳は食べておいしさを楽しむだけの料理ではありません。エネルギーを摂取するための食事ともまた少し違います。冷えや食欲不振など、その人がもつ体質自体を改善へ導くための食事が薬膳料理です。
体質改善というと薬のような臭いのある料理を想像する人も多いのではないでしょうか。薬膳は生薬を使わなくても、体質に合った身近な食材を使うことで症状の緩和を目指すことが出来るのです。
2-2自分に合った食材や調理法で未病を防ぐ
薬膳料理は体質に合わせて、使用する食材・調理方法を選んでいきます。たとえば手足の冷えが気になっている人には、体を温める効果が優れている生姜・胃腸を温める効果のあるレンコン・鮭・大根などを組み合わせるとよいでしょう。
毎日野菜を摂取するために、サラダなど生野菜を食べる習慣がある人も多いはずです。しかし生野菜は体の熱を外へ逃がすという性質をもっています。スムージーのように加熱を行わない摂り方もサラダと同じく保温に必要な熱が逃げやすくなるので、薬膳料理では冷えが気になる人にはあまりオススメではない調理方法です。
冷えが気になる人は野菜の加熱を行うことで、生で食べるよりも冷えにくい体質へ改善を導くことが出来ます。とくに中医学では病名がつかないけれど、体調が優れない状態のことを「未病」と呼びます。
未病には冷え症や、食欲不振・生理痛・肥満などが当てはまります。薬膳はその人自身の体質に合わせて食材や調理方法を選ぶので、体質が原因で引き起こされやすい「未病」を防ぎ健康的な生活へとサポートしてくれます。
2-3むくみや出来物の改善(薬膳での「解毒」)
「未病」には、むくみや肌荒れの出来物などの症状も当てはまります。とくに女性でむくみが気になる方は、老廃物を体外に排出するデトックス機能が弱まっている証拠です。体を温め血行を促す効果が期待出来る生姜・くるみ・ニラ・豚肉などを使った料理がオススメです。
また薬膳でのデトックス「解毒」は「肝」の働きを高める調理方法・食材がポイントとなります。薬膳で考えられている「肝」は肝臓の働きだけでなく、新陳代謝・自律神経のバランスを整え血流の促す部分であるためむくみ・出来物の改善には欠かせません。むくみや肌荒れの出来物が気になる時は、「肝」に効果的な食材と体を温める調理法を意識してみてはいかがでしょうか。
薬膳は手をかけた料理だけでなく、手軽に取り入れることが出来る料理です。薬膳の一種であり、日常で何気なく使っている薬味と食材の組み合わせを見てみましょう。
日常にある薬膳
3-1お豆腐+生姜の冷奴
豆腐には大豆イソフラボンが多く含まれており、美容効果でも注目されている食材です。冷奴では薬味をプラスして味を楽しむ人も多いのではないでしょうか。
お豆腐に生姜をプラスするだけで、こんな効果が期待出来る薬膳料理に変わります。
・消化機能を整える
・体内の余分な熱を取り除く
・解毒作用
豆腐と生姜の相乗効果で、解毒作用に優れた薬膳料理になります。いつもお醤油だけをかけて食べるという人も、仕上げに生姜をお豆腐に乗せるだけなのでぜひ試してみてください。
3-2お刺身+大葉+ワサビ
お豆腐に生姜という組み合わせ以外にも、お刺身の薬味にも薬膳効果が期待出来ます。お醤油にワサビを溶かして、お刺身の生臭さを軽減させ風味を楽しむ人も多いです。ワサビの他に仕切りの役目でついている大葉も一緒に食べることで、次のような薬膳パワーを取り入れることが出来ます。
・解毒作用
・めぐりを高めて消化機能をサポートする
・胃腸を温めて冷えを防いでくれる
お刺身にワサビだけでなく付け合せの大葉を合わせて食べることで、体内が冷えやすい生の食材でも体を温める作用がプラスされるので冷えが気になる人にもオススメの方法です。
上記のように特別な食材や、調理方法を行わなくても日常生活に取り入れられる薬膳はたくさんあります。薬膳料理は難しそうなイメージもありますが、食材の性質と体質を組み合わせて考えるだけで手軽に取り入れられることが出来るのです。
薬膳とは?普通の料理との違い まとめ
薬膳料理というとお店で食べる手をかけた料理というイメージがありますよね。薬のように苦みや独特な臭いがするのではと身構えてしまう人もいるのではないでしょうか。
薬膳料理は難しいものではなく、身近な食材からとても手軽に作ることが出来ます。漢方の元となる生薬を使用した料理だけが薬膳料理ではないのです。
また薬膳料理は体質やお悩みに合わせて、日常生活を長い目でサポートしていくものです。
薬膳料理を取り入れてみたいけど何から手を付けたらいいかわからないと困ってしまった時は今回ご紹介した薬膳の食材や、薬味などぜひ試してください。