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食事介助の方法と注意点について

1人ではうまく食事ができない人、普段は寝たきりの人の食事は誰かの介助が必要です。
突然親が寝たきりになったら、家族が1人で食事ができなくなったら、私たちは自分で介助をする場合もあります。
しかし、何も学ばずに介助をするのは簡単なことではありません。そこで、少しでも皆さんが安心して食事の介助ができればとお話をしましょう。

目次

食事介助とは?

食事介助は一人でうまく食事ができない人のための介助です。
たとえ1人で食事ができても、誤嚥障害などがある場合は、時折様子を見るなどの注意も必要です。
高齢者、特に介護が始まった高齢者はできるだけ1人で食事をさせないように、家族の人が注意をしてあげましょう。

1-1ひとりでうまく食事ができない人のための介助

自宅や施設で過ごす高齢者の楽しみは、なんと言っても食事です。
しかし、1人でうまく食事ができないと、どうしてもイライラが募ります。そんな高齢者でも嫌な気持ちにならず楽しく食事ができることは、そばにいる家族にとってとても大切です。
しかし、家族も介護疲れがたまっているかもしれません。
介護をする家族も楽しく、互いの家族を思いやることができる、食事の介助についてのご紹介です。

食事介助の目的

食事介助は、1人で食事ができない高齢者にとって必要なことです。
しかし、初めて介助をする方にとっては不安でわからないことばかりです。
ちょっとむせるようになったら、手を出した方が良いのか、どれくらいから介助が必要なのか、介助を始めるタイミングはとても難しいです。
例えば、大丈夫というから自力での食事に任せていたら、嚥下障害による事故を起こしてしまったら大変です。
そこで、どんなタイミングで、どうやって食事介助をすればいいのか、食事介助の目的を考えてみましょう。

2-1食べるための機能が低下した人にスムーズに食事してもらう

食事介助の目的は、食べるための機能が低下した人にスムーズに食事をしてもらうための手助けです。食事がスムーズにできなくなると、高齢者自身が危険なだけでなく、気持ちも焦りやイライラが募ります。
そこで、ほんの少しでも食事が楽にスムーズにとれるように手助けをするのが、食事介助の目的です。

2-2誤嚥などをおこさず安全に食事してもらう

高齢者は咀嚼や嚥下の力が若い頃と比較し、どうしても低下してしまいます。それは唾液の量が減ってしまったり、歯が抜けたり弱くなったり、顎の力が弱くなることで起こる身体的変化です。
中でも嚥下の力が弱ると誤嚥を起こす危険性が高まります。
誤嚥を防ぐためにも、高齢者の飲み込みのペースや量、姿勢などを調整し安全に食事をしてもらうよう介助を行います。

食事前の介助準備

食事の介助には、食事前からの介助準備から始まります。
子育て経験がある人は、子どもが乳児の時に行ったことに似ていると思われるかもしれません。

3-1食事前の声かけ

まずは、食事前に声掛けをしましょう。特に、寝ている高齢者は覚醒させる必要があります。
声を掛けて、食事であることを告げましょう。

寝ていた人の目をさます

ずっと長いこと寝たきりのお年寄りは、生理機能以外はずっと寝ているという場合もあります。
そのような状態の中での食事になるため、まずは声掛けをし目覚めさせます。

食事内容を伝えて食欲を刺激する

食事であることを告げ、食事内容を伝えることで、食欲を刺激します。食べることは人間の本能ですから、空腹であれば誰でも食事をしたくなります。
しかし、ずっと寝たきりの高齢者の場合は、若い人と違い、いきなり食事を始められては何を食べさせられるのか不安になります。
そこで、これから何を食べるのかを伝えて、食欲が刺激されるようにしましょう。

3-2食事に集中できる環境にする

若い人でも、食事中にテレビなどがかかっていたり、トイレを我慢していると途中で食事が中断してしまうことがあります。
できるだけ食事に集中できるような環境を作りましょう。

排泄をすませる

寝たきりの高齢者の場合は、起きてすぐのため排泄を済ませてもらうことが大切です。特に、便意や尿意があれば、しっかりと用を足した後、清潔にしてから食事をしましょう。便意があるのに我慢をしていると、途中で食事ができなくなります。
また、部屋にポータブルトイレがあり利用している場合は、ニオイが残ると食欲も減退してしまいます。
あらかじめ排泄をした後に、きちんと処理をしてから、気持ちよく食事ができるようにします。

テレビなど気の散る音をなくす

テレビを見ながら食事をする人がいますが、単調な生活になっている高齢者の中には、テレビは刺激的なものです。テレビがついていると、それだけでも気になり食事に集中できないかもしれません。そこで、食事を始める前には、テレビを消しておきます。
部屋が静かすぎると落ち着かない、緊張してしまう場合は、ゆったりとした音楽や好きな音楽をかけて、リラックスできる雰囲気を作ってあげるのも良いですね。

3-3部屋と身の回りを清潔にする

高齢者はちょっとした菌やウイルスにも感染してしまいます。
そこで、食事の前には部屋と身の回りを清潔にしてあげましょう。

洗面所に行ける人は手を洗う

移動が可能な高齢者の場合は、排泄の後、洗面所に行って手をきれいに洗いましょう。手洗いは、できるだけ簡単に除菌効果があるハンドソープなどを利用しましょう。

自分で洗えない人は手を拭いてあげる

ベッドから起き上がれない、車いすでは洗面所に行けないような、自分で洗えない場合はどうしたらよいでしょうか。
手を洗うことができない人は、きれいなお手拭きで手を拭いてあげましょう。高齢者の中で認知症などの症状が出ていると、手づかみで食べてしまう人もいます。
また、高齢者の人は菌やウイルスに弱くなっています。手をしっかりと拭いて清潔にしてあげましょう。

こぼした場合に備えてエプロン(前かけ)をしておく

寝たきりの高齢者は、着替えをすることにも手間がかかります。そのため、できる限り汚さないような工夫も大切です。ドラッグストアなどでは、介護用の食事用エプロンが販売しています。防水効果もあり、食べこぼしなどを受け止めるポケット付きのものもあります。
こういったエプロンを利用すると良いですね。

ベッドで食事の場合は部屋の換気

ベッドの上から介護される人が動けない場合は、ベッドで食事をすることになります。食事をベッドですると、食事の臭いはもちろん、部屋の臭いがこもって食欲がなくなる場合もあります。
そこで、ベッドで食事をする場合は、しっかりと換気をするようにしましょう。

3-4口腔内を清潔にする

高齢者が食事をするために必要なものは、健康な歯や顎、口の力になります。少しでも口腔内の健康を維持するために、清潔にしましょう。

だ液の分泌量が減ったために口腔内に雑菌がたまる

私たちの口の中にある唾液は、様々な菌を分解し、胃の中へと流し込む働きがあります。そのため、歯磨きをしなくても虫歯にならない子どももいます。
しかし、加齢とともに唾液の量は徐々に減少していきます。口腔内を清潔にするように気を付けましょう。

食事の際に雑菌を飲み込まないように口腔内を清潔に

食事の際に、口腔内が汚れたままだと、その汚れに含まれる雑菌を飲み込んでしまいます。雑菌が身体の中に入らないように、汚れをきれいに取り除くようにしましょう。

うがい、口腔ケア用スポンジでのケア

食事をする前には、うがいをして口の中に汚れが残らないようにします。特に、嚥下障害がある人は、口の中に汚れが残っていると、その汚れも誤嚥してしまうと汚れの菌が気管に入りこんでしまう可能性があります。それが、誤嚥性肺炎を発祥するリスクにつながります。
食べた後は、口腔ケア用スポンジで舌苔なども取り除いて置きます。舌には味を感じるための味蕾があります。味蕾を清潔にすることで味を感じやすくすることができます。更に、唾液の分泌も活性化されるため、食べ物が飲み込みやすくなります。

3-5正しい姿勢を取る

食べる時は、正しい姿勢を取って食事をするようにしましょう。正しい姿勢を取ることで、喉の通りが良くなりようにします。歩行ができる高齢者の場合は、家族と一緒に食卓を囲めると良いですね。

足を床につける

まず、車椅子の場合、車椅子の足置き(フットレスト)に足を置いた姿勢で、食事をさせてしまうことがあります。
しかし、食事の場合は、足置きを使用せずに足はしっかりと床に置いて座って食事をするようにしましょう。
椅子で食事をする人は、食卓に向き合って椅子に座ったとき、深く腰掛けた状態で足が床にしっかりと着くようにしましょう。

半身を90度に近い角度に起こして顎をひく

誤嚥性肺炎の原因を避けるため、飲み込んだ食べ物が気管に入らないように正しい姿勢を保つことが大切です。
半身を90度に近い角度に起こして、顎を引きます。高齢者の状態に応じて腹部や腰に、不要な力が入らない姿勢を保つようにしましょう。
リクライニングの椅子を利用している場合は、椅子の時と同じように腰が90度に曲がるようにしましょう。
ベッドで食事を取る時は、リクライニングや車椅子と同じように正しい角度にします。ベッドの場合は、高齢者の身体の状態に合わせて45度から80度くらいに保ちます。

食べたものがスムーズに食道へ流れる

上半身ができるだけまっすぐに保てるように、90度に近い角度に身体を起こすと、食べ物がスムーズに食道に流れます。食べたものがスムーズに食道に流れると、気管に間違って入ることを防ぐ可能性が高くなります。
誤嚥を防ぐためにも、高齢者が楽にまっすぐな姿勢取れるような工夫をしてあげましょう。

誤嚥のリスクも大幅に軽減

姿勢を正すことで、誤嚥のリスクが大幅に軽減します。高齢者の食事は、むせたり飲み込む力が弱いため誤嚥のリスクがあります。
そこで、少しでも誤嚥のリスクを減らすために、姿勢を正すようにしましょう。

ベッドで食事の場合はリクライニングで無理のない角度におこす

ベッドで食事をする場合は、リクライニング機能を使って、無理のない角度に起こします。腰が曲がっている人やベッドで食事をする人の場合は、身体の状態に合わせて楽な姿勢にすることも大切です。
ベッドのリクライニングを、45度から80度に傾けて食事がとれるようにしましょう。
ひざは軽く曲げ、下にクッションなどを入れます。

3-6水分補給

人は加齢とともに唾液の分泌が減少します。少しでも水分補給をし、唾液の代わりに飲み込みやすいようにします。

食事の前に水分を摂り、口の中を湿らせておく

水分を取るといっても、普通に水を飲むと飲み込みすぎて誤嚥の原因になることがあります。少しずつ水を与えてあげるようにします。

食事中もこまめに水分補給

食事中も、唾液の代わりに水分を補給するようにします。食事とともに水分を取ることで、飲み込みやすくしましょう。

食事中の介助方法のポイント

それでは食事中の介助方法のポイントです。食事中の介助は食事をする人のための手助けです。
同じ目線で、介助をすることが大切です。

4-1介助者のポジション

それでは介助者のポジションについてです。
介助者は、介助される人が安心して食事がとれるような場所や目線で、お手伝いをしましょう。

被介護者と同じ目線になるように横に座る

介助をする人は、用介助者と同じ高さの目線になるように、横に座りましょう。目線の高さに、お世話をする人が位置することが大切です。

高い位置から食事介助を行うと誤嚥のリスクがある

被介護者よりも高い位置から食事介助をすると、スプーンが正しい位置で口に入りません。正しい位置からスプーンがはいらないと誤嚥のリスクが高まります。
介助をする時は、スプーンが下の角度から少量ずつ運ぶようにします。そのためにも、被介護者と同じ高さに座ることが大切です。

4-2食事の提供方法

食事の提供方法はどうしたらよいでしょうか。量や、提供するタイミングについてお話をしましょう。

1回の食事量の目安は介助用スプーン(なければティースプーン)に軽く一杯くらい

嚥下障害がある人はもちろん、障害がない人でも唾液の量が減少している高齢者にとって、1回の食事量の目安は少なめにします。
介助スプーンがあれば、軽く一杯ずつ口に浅く届けてあげましょう。ない場合は、ティースプーンを利用しましょう。

スプーンは口の奥ではなく手前に入れる

スプーンは口の奥に入れないようにしましょう。口の手前に入れるようにします。

口を閉じたらスプーンを抜く

タイミングは口を閉じたらスプーンを抜く、というタイミングにします。口を開けたままで抜いてしまうと、こぼしてしまうこともあります。気を付けてあげましょう。

食べ物を口に運ぶ前に「次は○○を食べましょうね!」と声かけ

食べ物を口に運ぶ前に、必ず声掛けをしましょう。
「次は○○を食べましょうね。」
という感じに、声をかけて被介護者が驚かないようにします。献立を教えることで、食べたいという意欲にもつながります。

水分が多いものから与える

胃酸に分泌物を促進するためにも、水分が多く消化しやすいものから与えましょう。とろみのある汁ものなどから徐々に固形物を上げるようにしましょう。

胃酸の分泌を促進

水分が多いものを与えて、胃酸の分泌を促進します。胃酸の分泌が促進されることで、少しずつ固いものでも消化しやすいようにします。
また、唾液を出しやすくして飲み込みやすくしましょう。

主食、副菜、汁物などをバランスよく交互に食べる

色々な食事が食べられるなら、主菜・副菜・汁物などをバランスよく交互に食べましょう。
主菜はお粥やご飯、主菜はひき肉や白身魚、副菜は野菜や豆腐、汁物はとろみをつけたスープや味噌汁など献立のバランスを考えます。

4-3被介護者のペースを見極め急かさない

被介護者のペースを見極めて、せかさないようにします。途中で満腹になることもあります。ゆっくりとしか食べることができない人もいますので、被介護者のペースを乱さないようにします。

飲みこみおわるのをしっかり確認する

口の中にまだ残っている状態で、次の食事を与えないようにします。飲み込みおわるのをしっかりと確認します。

飲み込みを急かさない

食事のペースは人それぞれです。被介護者の食べる意欲を阻害しないよう、飲み込みを急かさないようにします。
どうしても仕事などで忙しい家族は、無理をして食事の介助をせず、プロにお願いすることも必要かもしれません。

4-4食事にかける時間

それでは、食事にかける時間はどれくらいがちょうど良いでしょうか。
急かさずに食べさせることは大切ですが、あまり時間をかけすぎると疲れてしまうこともあります。

長くなると疲れるため30分を目安にする

高齢者にとって、食事そのものが仕事になります。そのため、楽しく食事をしないと疲れてしまうこともあります。どうしても早く食事はできませんので、長くなってしまうこともあります。
そこで、疲れて食べることがいやにならないように、30分を目安にしましょう。

食事介助の注意点

次に、食事介助の注意点です。
高齢者にとって、食事がどんなものかを考えて、注意をするのはどんな点でしょうか。

5-1食事の内容を確認

まずは、被介護者の実際に食事をした内容を確認します。
食事の内容を確認することで、高齢者の体調の変化に気が付くことがあります。

摂取量が著しく減るなど、変化に注意する(体調不良の可能性)

高齢者の食べる量、摂取量が著しく減るなど、いつもと違う様子がわかったら注意しましょう。食欲が減退するような様子が見られると、被介護者の体調に何かしらの問題がある可能性があると考えられます。
高齢になると自然と食事量は減りますが、数日前や数週間前よりも減っているようなら、注意してあげましょう。

残った食事やかかった時間などを記録することで嗜好・傾向がつかめる

軟菜食やミキサー食と、食事形態が変わると、食欲がなくなるかもしれません。残った食事や、食事にかかった時間などを記録することで、高齢者の嗜好や嗜向がわかります。
好みが変わることもありますので、記録をとるようにしましょう。

5-2必要に応じて服薬介助

持病がある場合は、必要に応じて服薬介助をします。服薬は食前や食中のものもあります。間違えないためにも介助が大切です。

食後の服薬が必要な人の服薬介助をする

高齢者のほとんどは、食後の服薬が必要な人もいます。場合によっては食前、食中という薬もあります。高齢者の中には、薬の服薬が必須の人もいれば、必要以上の服薬をしている人もいます。
正しい服薬をするためにも、介助者が薬のチェックをするようにしましょう。

5-3食後の口腔ケア

食後は必ず口腔ケアをします。口の中はもちろん、入れ歯や差し歯をしている場合は、こちらもきれいに洗浄をします。

食べ物が口の中に残っていると、誤嚥や窒息の危険性

食べ物のカスが口の中に残っていると、誤嚥や窒息の危険性があります。食事の後は、食べ物のカスが残っていないことを確認します。

歯磨き、口の中をゆすぐ、入れ歯をはずして洗浄

口腔ケアは、歯磨き、口の中をゆすぐ、入れ歯や差し歯を外して洗浄する、といったことを行います。歯磨きが難しい時は、介助者が口腔ケア用スポンジできれいに口の中をそうじします。

口内炎などのトラブルを防止

口の中を清潔にすることは、雑菌を排除します。口の中に雑菌が残っていると、口内炎などのトラブルになることもあります。口内炎などのトラブルを防止するためにも、食後の口腔ケアをしましょう。

覚えておきたい食事介助の方法と注意点について解説!まとめ

食事介助の方法と注意点には、たくさんのことがあります。
とても満足なケアをする自信がないと思うかもしれません。
しかし���食事介助をする人がいるだけで、高齢者も安心して食事を取ることができます。
まずは見守り、手を添えることから始めてみましょう。

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