介護食には種類だけでなく分類もあり定義が決まっています。
このことを知ることで介護食についての知識が広がります。どこよりも詳しくそして分かりやすく解説致します。
- 目次
- 1. 介護食の分類・区分
- 1-1. 食品の硬さや粘度などをもとに分類した4つの区分
- 1-2. ①容易に噛める
- 1-3. ②歯茎でつぶせる
- 1-4. ③舌でつぶせる
- 1-5. ④噛まなくてよい
- 1-6. 嚥下調整食学会が提案する病院や施設での食形態の分類
- 2. 介護食の種類
- 2-1. きざみ食
- 2-2. ソフト食・やわらか食(軟菜食)
- 2-3. ミキサー食
- 2-4. とろみ食・ゼリー食・ペースト食(嚥下食)
- 2-5. 流動食
- 3. 介護食品の選び方
- 3-1. レトルト介護食や宅配介護食サービスなどが広まりつつある
- 3-2. 介護食選びのわかりにくさを解消する基準ができている
- 3-3. スマイルケア食とは?
- 3-4. 購入する場合の参考基準
- 4. 介護食の種類や分類と、その特徴について詳しく解説!のまとめ
介護食の分類・区分
介護食を知る上で、分類と区分を正しく知ることは必須条件となります。
これから介護食についての学びをはじめていこうと思う方、資格を取得したいと思っている方は必ずチャックしておかなければならない内容となっています。
1-1食品の硬さや粘度などをもとに分類した4つの区分
介護食は、食品の硬さや粘土(とろみの有無)に応じて4つの区分わけがされています。
①が最も状態が良く④になるにつれ状態が悪くなっていきます。
1-2①容易に噛める
目安:硬いものや大きいものはやや食べづらく感じるが、普通に飲み込める
この段階に該当する人は、飲み込むことはできるが、大きいものや固いものを噛むには少し苦戦する方です。
歯の力はあるが、力がやや不十分な状態をさします。
1-3②歯茎でつぶせる
目安:硬いものや大きいものは食べづらく、ものによっては飲み込みづらいことがある
この段階に該当する方は、大きいものや固いものは飲み込みづらいが、その他のものは普通に噛む・飲み込むことが出来る方です。
状況に応じて介助者がお手伝いすることも必要になります。
1-4③舌でつぶせる
目安:細かくてやわらかければ食べられるが、水やお茶の水分が飲み込みづらいことがある
この段階に該当する方は、固いものは食べることができず柔らかいものであれば可能である方です。
飲み物では、水やお茶でも飲み込みづらいという状態です。
1-5④噛まなくてよい
目安:固形物は小さくても食べづらく、水やお茶の水分が飲み込みづらい
この段階に該当する方は、柔らかいものでも飲み込みづらく、水分も飲みづらい状態の方が該当します。
多くの場合、付き添いの介助者が必要である段階であると捉えてください。
1-6嚥下調整食学会が提案する病院や施設での食形態の分類
この分類は、食事の際の飲み込む力(嚥下)に着目した分類です。
重度の場合が0で最も症状が軽いのが4の5段階表記となっています。
先ほどの介護食分類とは重症度が逆になるという点に注意してください。
コード0、1
・摂食嚥下機能に重度な障害があり、再び食べる訓練を行っている人
この状態は、飲み込む動作・食べる動作が最も苦手な方が該当します。食物を口に含んでから流し込むまでに介助や見守りが必要です。
基本的な食事はゼリー状のものになります。
重度の麻痺や脊髄損傷の方が該当するケースが多いです。
コード2-1
・飲み込む力に加えて、自ら食べ物をのどに送り込む力がある人
この状態は、もぐもぐできるが誤嚥しないよう見守りが必要な状態の方が該当します。
食べ物自体を喉の奥に送り込むことはできるが、ミキサー食やペースト状のものに限ります。
コード2-2
・食事を口の中でまとめる力があり、さらにのどに送りこむ力のある人
この状態では、食事を喉の奥に送りこむことが出来るが、ミキサー食やペースト状のものが中心となります。
コード2-1との大きな違いは、食事形態で不均衡なものでも大丈夫か否かです。
コード2-2では、1と比較して不均衡なペースト状のものが摂取可能です。
コード3
・形ある食品に対して、舌や口蓋(上あご)を使って押しつぶす力がある人
この段階になると、形状のある食事を取ることができます。舌と口の両方で食物を押しつぶすことが可能です。
ただ、誤嚥のリスクが高いです。
コード4
・歯ぐきや舌などですりつぶす力がある人
この段階では、箸やスプーンで切れることのできる硬さであれば摂取することが可能です。
歯があるか否かは関係なく、喉に送りこむまでに押しつぶすことが出来るか否かが判断基準になります。
介護食の種類
ここからは介護食の種類を解説していきます。それぞれの種類に明確な目的がありますのでぜひ押さえて下さい。
2-1きざみ食
食品を小さくきざんだ食事
きざみ食は基本的に普通の食事メニューと変わりませんが、食べやすいように刻んである状態の食形態をいいます。
大きな食材や、状態から判断して食べにくいであろう食材を何等分かに切り分けて提供することで食べやすい状態を作っていきます。
2-2ソフト食・やわらか食(軟菜食)
舌でつぶせるくらいまで煮込んだりゆでたりして、やわらかく調理した食事
ソフト食は、固いものを食べることが出来ない、飲み込むことが出来ない方を対象に提供します。
基本的には、柔らかくした野菜や魚が中心となります。
2-3ミキサー食
ミキサーにかけて飲み込みやすい液体状にした食事
ミキサー食は、食物の原型がありません。食事が全てミキサーにかけたようなドロドロとした状態で提供されます。
柔らかいものを食べることができず誤嚥の危険性の高い方が該当します。
2-4とろみ食・ゼリー食・ペースト食(嚥下食)
ミキサーにかけ、さらに飲み込みやすくするためにペースト状やゼリー状にした食事
これらの食形態は、誤嚥を防ぐ為に行われるもので症状にあわせて医師に指示によって適用されます。
トロミ食は普通の食事にとろみをつけることで、ムセや誤嚥を防ぎます。
ゼリー食は、とろみ対応ではムセがでるリスクの高い方に用いられる食形態です。
ペースト食は、ミキサーをさらに砕いた状態で、誤嚥リスクが非常に高い方に用いられます。
2-5流動食
消化しやすいことを重視した、スープや重湯など液体状の食事
流動食は、飲み込むことも困難である方の食形態です。中でも最も誤嚥リスクが高くムセのでる可能性が高い人が対象となるのが一般的です。
介護食品の選び方
ここでは、介護食品の選び方について解説します。
現在では在宅での介護も増えてきていることから、専門的な知識がない方でも選び方が分かるようにわかりやすい基準が出来ています。
3-1レトルト介護食や宅配介護食サービスなどが広まりつつある
介護食があるのは病院や介護施設だけでなく、在宅での介護者が適切な食形態を選ぶことが出来るようにレトルト介護食や宅配介護食サービスのパンフレットには、非常に分かりやすく記載されています。
このようなサービスを利用する在宅介護は、増えてきています。
3-2介護食選びのわかりにくさを解消する基準ができている
基本的には、事前にプロによる判断が成されたのちに、どの食事形態が良いかが決定します。
判断方法としては、それぞれの形態を一口ずつ食べてみて、誤嚥やムセがでないかどうかの判定をします。
くわえて、介護を必要とするかたの意見も取り入れながら決めていくのが一般的です。
3-3スマイルケア食とは?
スマイルケア食とは、農林水産省の取り組みによってなされた状態別に色付けされた介護食のことです。
・農林水産省の取り組みではじまった介護食の表示
・メーカー間の分類・表示の違いによるわかりにくさを解消
・食べる悩みに応じたフローチャートで介護食を選びやすくしている
簡単にいうと、色をみれば取るべき食事がわかるということです。
色は、青・黄・赤の3種類で、青は噛むこと・飲み込むことに問題はないが、健康維持する為に栄養補給が必要な方、黄は噛むことが難しい方、赤がついている場合は飲み込むことが難しい方向けの食品だとわかります。
この取り組みにより、在宅で介護をする方が食品を選びやすくなりました。
3-4購入する場合の参考基準
介護食品を購入する際の目安になるのがユニバーサルデザインフードであるか否かです。
・「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のこと
・ユニバーサルデザインフードであることを示すマークがついている
・固さや飲み込みやすさのレベルが一定の基準で表記されている
独特のマークが特徴的ですので覚えやすいかと思います。
ユニバーサルデザインフードとは
ユニバーサルデザインフードとは、「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のことです。←このマークが目印です。
このマークがついている食品を選んでください。
また、上記マークの横に「とろみ調整」や「とろみ調整 ゼリー状」などと記載されていますのではじめて購入する方でも分かりやすい状態となっています。
とろみのつけ具合も「+」マークで表示されていますので、該当するものを選びます。
介護で手を離すことが出来ないという方向けに通販ショップでも取り扱いがありますのでぜひ利用してみてください。
介護食の種類や分類と、その特徴について詳しく解説!のまとめ
介護食は状態にあわせて細かく区分されていますが、在宅介護が増えてきたこともあり、一目みれば該当する食品が分かるように工夫がなされています。
食事によってムセや誤嚥が生じることは、生死に関係する非常に重要なことですので、介護者も当本人も正しく理解する必要性があります。
しかし、専門的な知識を必要としない簡単な表示マークの普及により、この問題は解決されつつあります。
介護食を選定する上で重要なことは、常にその食形態が正しいのか否かという疑問を持つことです。
在宅で介護を行っている方、これから行うという方は、特にこの視点を忘れないようにしましょう。