情報も増えてきた一方、やはり気になるのは、具体的な効果ではないでしょうか。ここでは、マクロビオティックを実践することでもたらされる身体と心への効果を説明します。
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マクロビオティックの玄米菜食とは
マクロビオティックのもたらす効果として最終的な目的は、「健康な暮らし、幸せな生き方を手に入れる」というものです。
そして具体的な説明のためには、マクロビオティックの基本である玄米菜食についてみていく必要があります。「玄米菜食」という名称でも呼ばれるマクロビオティックは、玄米菜食を中心におき、菜食主義のように思われることもありますが、単に肉食を否定しているものではなく、禁止されている食材もありません。
では、なぜ玄米菜食にこだわるのでしょう。その理由は、マクロビオティックの2大原則と陰陽論というルールにあります。玄米菜食は、そこから導きだされたスタイルであり、また玄米の効果を知ることからマクロビオティック全体の効果効能も見えてきます。
まずは、その基本ルール、2大原則と陰陽論から説明していきましょう。
マクロビの基本ルール
1〇身土不二(しんどふじ)
マクロビオティックでは「自分の暮らす土地の旬のものを食べること」という意味です。暑い地方、寒い地方、それぞれに適した食材が育ち、そこに暮らす人は昔からその食材を食べてきました。
その食生活で培われた身体はその土地に適応しやすい身体となり、自然の理にかなっているという考え方です。そのことから、日本人の昔からの主食であるお米を食べ、できるだけ自分の住んでいる場所の作物を食べるという玄米菜食を行っているのです。
2-1一物全体(いちぶつぜんたい)
身土不二と並びマクロビオティックのもうひとつのキーワードとなる言葉で「自然の恵を残さず丸ごといただく」という意味です。
食材は、根っこや葉っぱ、皮や実など全ての部分をひとつ(全体)と考え、食材を丸ごと食べることで高い栄養価をいただき、また残さず食べることで食物への感謝を表すという考え方です。
玄米菜食に対してもこの原則が用いられており、穀物のありのままの姿に近い玄米を中心として食べ、野菜も皮のまま調理するという方法がとられています。
2-2マクロビオティックの「陰陽論」
マクロビオティックでは、東洋の易、五行論の理論を融合した「陰陽」を食材や調理法、生活の様々なことに当てはめて考えます。特に食材についての陰陽区分は食生活の基本ルールとして重要視され、陰陽表をもとに献立を考えていきます。
その理論の中では、陰性の食材、陽性の食材という区分がされ、できるだけ陰陽の傾きがないように双方を組み合わせることでバランスをとるようにします。特に玄米は中庸(陰性にも陽性にも偏りのない状態)という区分におかれているため食の中心とされているのです。
このように玄米と菜食を中心とした食生活には、思想にのっとった理由があります。では次に、玄米食について詳しくみていきましょう。
玄米食の栄養価と効能
「玄米」には健康食、美容食というイメージもあるようですが、具体的なメリット、白米との比較はこのようになります。
3-1100gに対しての比較・比率
・低カロリー:白米168キロカロリー、玄米165キロカロリー
・GI値:白米81、玄米55
・ビタミンE比率:白米1:玄米1.5
・ビタミンB1:白米1:玄米5.1
・食物繊維:白米1:玄米6
・ナイアシン:白米1:玄米5
・マグネシウム:白米1:玄米4.8
・カルシウム:白米1:玄米1.8
成分分析からもみられるように玄米は、白米と比較してカロリーやGIは値が低く、栄養価においては高い数値を示しています。
特に豊富な食物繊維は、腸をきれいにし、排泄を助けてくれる効果がありますので代謝を上げ、太りにくい身体をつくってくれます。またGI値(グリセミック・インデックス)が低い玄米は、食べた後ゆっくりと処理され、血糖値の上昇が穏やかです。
結果、血糖値を下げるインスリン分泌に負担がかからなくなり、糖尿病や肥満のリスクが下がります。つまり、総合的にみても玄米は、白米よりダイエットに向いているといえるのです。
マクロビオティックの玄米菜食がもたらす効果
ここからは玄米菜食の具体的な効果をみていきます。
4-1身体的効果
健康
高い栄養価を接種することができ、体力がつき健康増進効果が得られます。
ダイエット
豊富な食物繊維がとれることで、便通の改善、代謝アップにより太りにくくなります。
肌質アップ
栄養バランスがよくなり、肌のうるおいが保たれ肌質のアップにつながります。
4-2精神的効果
ストレス対策
GABAを含んでいるため対ストレス性が養えます。
疲労感・倦怠感の軽減
栄養のバランスがとれエネルギーを充填しやすくなるためイライラ、疲労、倦怠感が現れにくくなります。
4-3社会的効果
エコロジー
自分の暮らす土地の近くでとれる玄米や野菜を食べることは、無駄な運送費や過剰な梱包を省き環境のエコロジーにつながります。
環境問題に貢献
オーガニックな野菜、無農薬の玄米など食材を選んで食べる人が増えることで農薬の低減、土壌汚染の軽減につながります。
玄米菜食・マクロビオティック食の注意点
健康によいメリットが多いマクロビオティックですが、玄米と野菜だけでは栄養素の一部が補えず、栄養不足になることがあるため栄養失調の心配もあります。具体的な注意点と対策を説明します。
5-1不足する栄養素
タンパク質
肉や魚を避けて食事をとるとタンパク質の摂取量が少なくなります。玄米や大豆製品を少量とるだけでは、一日の必要量に満たない場合があります。タンパク質が不足すると筋力の低下が起こり、皮膚や髪の質にも悪影響がでてきます。
ビタミンB12
魚介類やレバーなど動物性食品に多く含まれるビタミンB12が不足しがちになります。マクロビオティックの食生活では、この栄養がとれる食材がとても少なく欠乏しやすいとされています。ビタミンB12の欠乏は、貧血、疲労感、不眠症、むくみ、神経系の障害を引き起こします。
亜鉛
肉や魚介類に多く含まれる亜鉛は、体内酵素の生成、発育の促進、味覚の正常化などの働きがあります。食材植物性の穀物や野菜には少量しか含まれず、さらに玄米には亜鉛やミネラルを排出してしまう作用もあるため不足しがちになります。
鉄分
鉄分を多く含む食材としては、レバーなどの肉類や赤みの魚です。大豆製品や切り干し大根、小松菜にも含まれますが、植物性の鉄分は身体に吸収されにくい性質をもっているためマクロビオティックの食生活では、不足が心配されます。
鉄分が不足すると貧血、めまい、息切れ、手足のむくみが起きやすくなります。
酵素
野菜や果物の酵素は、熱により消失してしまうためマクロビオティックの加熱を基本とする調理法では、不足しがちになります。酵素には、肌のターンオーバーを促進し活性化させる作用がありますので不足すると肌のハリやキメが整わなくなるなど美容にも悪影響が起こりやすくなります。
5-2不足を補う食材・方法
タンパク質
乾物なども利用して大豆や豆腐、厚揚げ、納豆などの大豆製品を積極的にとるようにし、付け合わせやドレッシングにもゴマやナッツ類を加えるようにします。
ビタミンB12
ビタミンB12が豊富に含まれる食材が海苔です。青のりや佃煮など一日に5g(焼きのり約2枚分)相当の海苔を献立に取り入れるようにします。
亜鉛
高野豆腐や納豆、切り干し大根には含まれますが、亜鉛の含まれる割合が少ないため必要に応じて卵や乳製品を接種することも検討しましょう。
鉄分
鉄分を多く含む食材としては、切り干し大根、きな粉、ゴマ、高野豆腐、厚揚げなどがあり、ホウレンソウ、小松菜、プルーンなども積極的にとるとよい食材です。
酵素
酵素は、60℃~70℃以上の加熱調理で消失します。酵素不足を感じた場合は、野菜や果物を生で食べるようにしてみましょう。
マクロビオティックのもたらす効果まとめ
マクロビオティックのもたらす効果を説明してきました。玄米菜食と呼ばれる食生活での基本的ルールと意味を知ることにより、その効果や目的も見えてきます。
また、白米と玄米の比較では、玄米のダイエット効果などメリットも多くありましたが、不足する栄養素などの注意点など気にかけるべき点もありました。効果を知ることと同時に短所も知ることで安全、安心なものになりますのでぜひ、両方の側面から学び、正しいマクロビオティック生活を送りましょう。